入院 その１６

Sさん

退院したSさんは私のベッドのまん前にいました。
ちっちゃくて細いのによく食べるリウマチのおばあちゃんでした。

足が不自由ということで親戚の方に作っていただいたという木製のカートを押して歩いていました。

私はよく食事のトレイを近所のよしみで片付けてあげてました。

たまに来るこのおばあちゃんの娘という人がすごい人でした。

病的に超ヒステリー。細身で独身。

外面はとてもいいのですが、おばあちゃんへの態度が激しい。

おばあちゃんを「おまえ」と呼び、ものすごい早口でヒステリックにまくしてる。

聞いているこちらの気が狂いそうでした。
この人が見舞いに来るとこちらが鬱になります。

おばあちゃんにはこの娘しか頼る人がいないらしい。


のちに一度だけ、お互いの外来日にすれ違ったことがあります。