もいんもいん!

「もいん」とはもとは北ドイツのおはようという意味です。

『君たちに私の憎しみは渡さない』

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Eテレ『君たちに私の憎しみは渡さない』


厳かな番組でした。テロに遭ったり、テロによって愛する人を失った人々の尊厳のあり方が眩しく、人の崇高さを感じました。
彼らは憎しみに身を投じるのではなく、尊厳のある生き方を選んだ。

以下、主人公がテロの被害に遭った人との会話や私の感想。
抵抗は健全な行為、憎しみは犯人に何の影響も与えない。
人の心に穴があると憎しみが入り込む。
悲しみは克服できないし、しなくていいし、それでも生活をしていかなければならないし、子育てもしなければならない。それでも人と対話をする事によって、彼らは尊厳を獲得していく。
自分で獲得した尊厳は何にも代え難い崇高なものだ。
人の話を聞くと自分も話せる。口を塞ごうとする行為では前に進めない。
犯人が反省した分、自分も犯人を赦す。犯人が犯行に至った事に思いを馳せなければならない。ある意味、彼らも被害者。犯行は赦せないが、犯人は赦す。

フランスではテロの被害者は国が保障してくれるというが、国連で働いていてテロにあった場合、国連ではテロの定義が定まっていないから、被害者は透明人間で保障がないという。でも父親を殺された子共は今や13歳で(当時、母親のお腹にいたか、小さな子共だったか)憎しみでは何も生まれないし、主人公の妻も心の中で生きているよと、素敵な事を言う。
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アントワヌ・レリスはバタクラン劇場のテロ攻撃で妻を失った。事件の数日後、彼は妻の命を奪った犯人へのメッセージをフェイスブックに投稿する。「テロは失敗した。なぜなら私は君たちを憎むことはないから」という淡々とした内容だった。メッセージは世界中の人たちに何百何千回もシェアされることになる。レリスは彼と同じ境遇にいる人たち――テロ攻撃の後、人生を立て直そうとしている人たち――に会いにゆく。