もいんもいん!

「もいん」とはもとは北ドイツのおはようという意味です。

フランス未公開傑作選 イメージ・フォーラム

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映画の國名作選V フランス未公開傑作選
シアター:イメージ・フォーラム
公式サイト:http://www.eiganokuni.com/meisaku5-france/

『ある秘密』クロード・ミレール監督
『刑事ベラミー』クロード・シャブロル監督・脚本
『三重スパイ』エリック・ロメール監督・脚本

未公開なんてもったいない。傑作ぞろいなのに。
映像作家は脚本もご自身で書きます。すごいなあ。
外国映画は映画祭止まりで一般公開されない映画が多くて残念です。
文化なのになー。
日本映画でもビデオ化DVD化もされてない良品が多いので、
TSUTAYAさんがんばって!!

『刑事ベラミー』
2009年/110分/カラ−
監督・脚本:クロード・シャブロル
出演:ジェラール・ドパルデュージャック・ガンブラン

【解説】
2010年惜しくもこの世を去った"フランスのヒッチコック"クロード・シャブロル監督の遺作。実際に起こった保険金詐欺事件を基にしたユニークな脚本。シャブロル作品初登場のドパルデューがメグレ刑事を彷彿とさせるベテラン刑事に扮し、複雑怪奇な人間模様に翻弄される。作家のジョルジュ・シムノンと歌手のジョルジュ・ブラッサンスに捧げられた巨匠最後の傑作。

【監督】クロード・シャブロル
ここ数年我が国でも急速に再評価されつつあるミステリーやサスペンスの巨匠。上流階級の欺瞞やデカダンスを描かせたら右に出る者なし。大の美食家でもある。

【感想】
名士刑事ベラミーのできそこないの弟がベラミーの影のようで、見ていてせつなくなりました。
ベラミーがマンホールに落ちそうになり妻が助けたら、「君のおかげで落ちないですんでいる」的なセリフに現れているように、名士刑事ベラミーがあるのは聡明で素敵でおしゃれな妻のおかげなのです。
弟にはそういう人がいなかっただけで、ベラミーとは表裏一体なのです。

それにしてもフランスでもムショに行くとおかま掘られるんですね。



【解説】
トリュフォーゴダールの助監督としてキャリアをスタートさせたクロード・ミレール監督が描くある家族の謎めいた過去。両親の青春時代に起きた悲劇的な事件の秘密とは?ベストセラー小説「ある秘密」を基にナチス占領下のパリと現在を幻想的にミックスさせた心理サスペンスの傑作。クリント・イーストウッド作品「ヒア アフター」('11)でヒロインを演じたセシル・ドゥ・フランス、「引き裂かれた女」('07)のリュディヴィーヌ・サニエ、「さすらいの女神(ディーバ)たち」('10)のマチュー・アマルリックらフランスの若手演技派の出演にも注目。

【監督】クロード・ミレール
トリュフォーゴダールのもとで修行した経歴をもち、ヌーヴェル・ヴァーグの正統な後継者と呼ばれる。若手女優を美しく撮り、その演技に磨きをかけ手腕はトリュフォー仕込み。

【感想】
フランスでナチスが台頭してユダヤ人が差別を受け始めた頃が舞台です。
衣装が素敵。裕福層の華やかな風俗が素晴らしかったです。
当時のフランスでのユダヤ人の立場がよくわかる作品でした。
あの黄色い星のバッジをつける、つけないでもめたりしていました。
自伝だけあって非常にリアリティのあるものでした。
過去がカラーで現在がモノクロの映像だったのがおもしろかったです。

おいおい、自分の結婚式なのに他人の妻にあからさまに見とれすぎでしょう。
しかも見られてる女性も空気読めよ、って場面が多々あり。
やっぱりフランス人って空気読まないよな〜と思ったり。

これにナチの台頭という悲劇が加わりにさらに悲惨な結果になります。

この悲劇を完全に封じ込められている状態から物語は始まり、徐々にその秘密があらわれて行きます。
その悲劇がなかったことになっちゃてて、その歪みを子供が一身に受けて。

せつないんだけど、誰が悪いってわけてもなく、時代に翻弄されつつも、
輝きを持って生きることができる二人(夫婦)の生の強さを感じました。
そうしなければ生きられない時代だったことがひしひしと感じられます。

生は圧倒的に強いです。

でも、晩年のさみしさに人生の悲哀を感じますが、それも含めて生なのかなあ、と思いました。


『三重スパイ』
2003年/115分/カラー
監督・脚本:エリック・ロメール
出演:カテリーナ・ディダスカル、セルジュ・レンコ

【解説】
緑の光線」「海辺のポーリーヌ」等で日本の若い女性を虜にしたヌーヴェル・ヴァーグの巨匠、エリック・ロメールの異色作。1930年代のパリを舞台に暗躍するスパイの姿を描いた本作は、裏切り、騙しあい、隠ぺいに満ちた痛快な傑作サスペンス。実際に起こった事件を基にロメール独自の解釈をほどこした緻密なシナリオ。当時のニュース・フィルムと男女の会話のみで構成した大胆な作劇術は脱帽の一語

【監督】エリック・ロメール
映画雑誌「カイエ・デュ・シネマ」の編集長から監督へ転身。若い女性たちの恋愛映画に伝統的なフランス文学の要素を巧みに取り入れた作風。ウディ・アレンを始め彼の影響下にある作家数知れず。

【感想】
うっとりするくらい服装がおしゃれ。

自称スパイとギリシャ出身の画家の妻の夫婦が主役で、
一体このスパイとやらは何をしてるのかなあ、と胡散臭さ満点。
妻が世俗に疎い画家だけに成り立っていた夫婦だけに、
それがせつないラストシーンにつながるわけで。

映画には具体的に何をしたかは出て来ず、
当時の映像で社会情勢を表現しています。

当時のフランスの社会は左よりだったんですね。
全然知りませんでした。
ファシスト派は左に行く。

夫婦の階上に住んでるインテリ夫婦も左で、
とうとうと思想や政治を語っていて、おもしろかったです。
語らせたら一品のエマニュエル・サランジェがインテリ夫を演じています。
この人、かわいかったのに、どうしたの、その顔の傷・・・。
いろいろあったんだねえ。

それにしてもラストの主人公の描写のなさったら、残酷極まりなかったです。