阿佐ケ谷物語 第４話

●信夫の事故

ある晩、信夫は帰宅しなかった。
チカの運転するボンネットにでかでかとうんこと書かれたフェラーリに轢かれて死んだ。
その日1日、ドイツ鉄道が1分の遅れもなかったことを洋子は知らない。


●信夫の事故、一部始終

お、あんなところでアベックがキスしとるぞ。大胆やなあ。
白人男と日本人女か。
おうおう、この木枯らしの中、あの白人男半袖Tシャツや。
しかも背中に安全日って日本語でプリントされてある。誰か言ってやれよ。

あ？　ありゃ、幸子さんと赤うんこ（チカの蔑称）ん家のBBQ大会に来たクリスティアン・シュミット君でねえか。ひょー、こんな阿佐ヶ谷で大胆なこった。いくら夜でもよ～、丸見えだっつーの。

どーん。

ありゃ、うんこの文字。

ひー、赤うんこに、はねられた～。
（信夫宙を舞う）

あの馬鹿たかはし夫婦、5時にBBQ開始っつたら、5時には火、起こしとけよ！　何がドイツ帰りだ！　1時間経っても火起こせねえで！　いやいや、こんなこと考えるでね！　洋子～、お母さ～ん・・・。


というわけで、おいら、死んじまっただ。

なぬー、洋子、こんなこと考えてたんか！！
おめこそ！　ぶーぶー、いっつもくっさいおならこき倒しやがって！