もいんもいん!

「もいん」とはもとは北ドイツのおはようという意味です。

映画『われらが背きし者』

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妻に拒否されるシーンから始まる本作。この時点でつかみはばっちり。
本当にひょんな事からロシアンマフィアと関わりを持つしがない詩の教授。
ロンドンの教授も花形美貌の弁護士の妻からしたらしがない存在だ。
正義感だけは強いが情にほだされるタイプか、しがないだけに冒険したかったのか?
ユアン・マクレガーのしがない様も絶品だ。

せっかく来たバカンスのモロッコ(マラケッシュ?)だって、自分の学生との浮気が原因で妻ともぎくしゃくしていたので、ロシアンマフィアとの関わりもどこかでは期待していたものではなかったか。

夫婦間のもめ事は二人では解決できないかもしれないから、
ユアン・マクレガーは必然的に危険な香りの外部に問題解決を見出したのではないか?
無意識に。

このポスターの「なぜ、俺を選んだ?」的な惹句も逆説的なもののような気がする。

ジョン・ル・カレ原作の映画『裏切りのサーカス』といい、夫婦の関係が破たんしている、破たんしそうになるといった人間臭い背景があるからこそ、物語が荒唐無稽に見えず、スパイの世界は日常のふとした延長にある事を思い出させる。