もいんもいん!

「もいん」とはもとは北ドイツのおはようという意味です。

映画『アメリカン・ティーン』

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映画『アメリカン・ティーン』2008年
本当なんだ、アメリカ学園ものの世界!!

むずがゆく恥ずかしくなるのは自分の高校生活を顧みざるを得ないからか。
日米、どっちが地獄? 青春とはそういうもの? 日本の学校の方が支配が強く闇が深いか。
自分の中高校生活への不満を思い出す。担任制度いらねー。授業さえ受けさせてもらえば、クラス単位の行事いらねー、うぜええっ、とか思っていたし、今も思っている。今、大学でも担任制度があるんだってね、意味ねー。
あと揃いの制服、体操服、ジャージ、カバンもいらない。
日本の高校に唯一なくて良かったと思えるのはプロム(卒業ダンスパーティ)だけ。
この映画はいわゆる典型的なアメリカが舞台。インディアナ州ワルシャワアメリカ中西部、白人、キリスト教信者が多く、共和党支持者と中産階級の多い典型的なアメリカ人の住む町に一つしかない高校。
出た! スクール・カースト。でも切実。大人になって良かったのはそういう世界から開放された事だ。

金持ち、女王気質のメーガン(女性・愛用者はベンツ)とバスケの花形コーリン(男性)がスクールカーストのトップにいるのだが、これが全くもって美形ではない。こういうのがリアルで、いわゆるイケてて自信のあるオーラを出している二人を中心に取り巻き連中がいて、この派閥に入らない自分の好きな事を追及する表情豊かな魅力的な変人のハンナ(女性)、スーパーギークのジェイク(男性)を軸とした彼らの1年間を追うドキュメンタリー。取り巻きやらもリアルだし、日本と同じだし。
イケてる子も悩みは多い。プレッシャー。
女王には、親の期待に応えられなかった姉が2年前に自殺していたり、弟のように可愛がっていた幼馴染に色恋沙汰ができると猛烈嫉妬して取り巻きの女性をコテンパンにいじめ倒す背景がある。取り巻きも大変だ。そして父親がこれ見よがしに着る出身校のノートルダム大学のトレーナーがまたプレッシャーをかける。ひょろっとした父親だが、金もありかなりやり手なのだろう。生徒会長かなんかが提案したプロムのテーマが気に入らないから、女王は彼の部屋の窓にスプレーで卑猥で差別的な落書きをする。それがばれて、犯罪者寸前。初犯だから温情されるが、こういうアメリカの学校の毅然とした姿勢はとてもいいと思った。女王が父に電話すると「やるならバレないようにしないと」とアドバイス。ああ、こういう男なんだなあと納得。そして、メーガンに「もしパパのためにノートルダム大に受かりたいと思っているなら、そういうの気にしなくていいから」と言うが、メーガンは「違う、自分のために受かりたい」と言う。散々、メーガンにプレッシャーかけといてそう言うのはアリバイ作りのような気がした。メーガンもそう言うしかないよね。

バスケの花形も、父親の影響でバスケを初めバスケで大学に進学したいが、親は学費は出せず、奨学金を得るか、父親のようにコメディアンになるか軍隊に行ってコックになれという。シビア。コーリンは全く笑っていない。で、父からは奨学金を得るために大学からの視察があったときにはコーリンにシュートを狙えと言い従うコーリンだったが、それはチームに軋轢を生む。チームからはあいつはシュートしか狙っていない、チームの輪を乱すやつと言われ、しかもチームは負け続き。
それとは対照的に、表情豊かなハンナはとても魅力的に映る。しかし、彼女にも母の躁うつ病という影が潜み、最愛の彼との別離で学校に2週間近く行けなくなっていまい、留年の危機が。ハンナはそういう母と別居しており、とてもチャーミングな祖母と暮らしている。父は仕事で別居だ。ハンナはアートが好きで将来映画の仕事がしたいからカリフォルニアの大学に行きたいと思っているが、親から遠い大都会で一人暮らしをする事を反対されている。
この映画ではよく若いカップルは好きを10段階でいうと何段階?というフレーズが出てくる。6とか8とか。でもハンナの次のバスケ部の彼は「数字で測れないよ」という。これがハンナの魅力だ。バスケのイケメンミッチがハンナに一目ぼれ。身分違いの恋! 「まさかあのミッチと付き合えるなんて! でも、私カリフォルニアに行くから・・・。」と決意が鈍る。私もハンナはとても魅力的に感じた。
そんなある日、女王メーガンが自宅パーティを開くのでミッチとハンナカップルも呼ばれた。が、ハンナ独りぼっち。ミッチは先に帰る。え?? で翌日、ハンナはミッチにフラれる。
青春はシビアだ。イケてる男は女にもイケを求める。元々惚れた理由はそうじゃなかったのに。
人間の生態を観ているような気になる。
スーパーギークのジェイクも彼女が欲しくてたまらない。転校生の美人に目を付け誘うとなんと両想いに! でも美人な女性は徐々にジェイクに飽きて来る。が、自分からはそれを最期の最期になっても言わない。流されやすい人格なのか、少しでもジェイクに憐憫を感じていたのか、はっきり言わない。美人だろうが、男だろうが、東西問わず、はっきり言わない人はいる。どこもそうだね、自分が悪者になりたくないもんね。
ジェイクは兄の所で知り合った子をプロムに呼ぶ。その子に「ここの名所は?」と聞かれ「ないよ」と答える。ああ、名所なさそー。
女王は無事に念願のノートルダム大に受かるが、イケてる取り巻きも徐々に独立して、女王は孤立していく。
コーリンはチームプレーをして大学に認められ奨学金をもらう事ができた。
ジェイクは大学に行ってマッチョになったり水泳をしたりいろいろやりたいと大学デビューを目指す。エピローグではだいぶかっこよくなってた。
本当、スクールカーストなんてせいぜい高校生の時だけだよ。容姿やなんとなくスタイルで勝負できるのなんてせいぜい20代くらい? いい年して見た目良くて中身のない奴は、やさぐれる。大人になってからはいかに経済的にも自立してるかが肝でしょう。