オットーくん３ 第１話『来世』

ついにチカさんに最期のときが来ました。
チカさんは息をひきとり、オットーくんとともに昇天しました。
その後、チカさんの夫は一人さみしく暮らしました。
時折、虹を一人で渡ってはチカさんとオットーくんと三人で楽しく遊んでいた日々を思い出し涙しました。



さむっ。
さみーな。

ここどこ？
あれ？
あれっ？？
あれーっ？？？？

ほ、ほ、北極だああ～。

私、オットセイに生まれ変わっちゃった！

とりあえず、母乳を飲もう。ちゅうちゅうちゅう。
【オットセイまめ知識その１・生後４週間は母乳で育つ】

繁殖期。さて、私がオットセイなら夫のU君もオットセイに生まれたろ、どこだ？
お、あそこで戦っとるやつかな【オットセイまめ知識その２・オス同士は戦う】

お、U君が勝った、勝った。
「オウオウオウオウオウッ（訳：Uく～ん、チカだよ～）」

げげっ、何こいつら～。
【オットセイまめ知識その３・勝ったオスは１０匹くらいのメスを囲いハーレムを作る】
「ぎゃー、ちょっと、U君、何やってんの！」
【オットセイまめ知識その４・十匹くらいのメスの目の前で交尾をする】

「ちょっと、こら！　あんたたち離れなさいよ！」とチカオットセイ。
「こらじゃないよ、あんたこそ邪魔するんじゃないよ、この新参者が。未だに人間の記憶ひきずってんじゃねえよ」
「やあ、チカちゃん、久しぶり、さあ、やろう」
「久しぶり、じゃないよ、全く・・・。え～ん、こんなのU君じゃな～い、どうせなら負ければよかったのに～」
「しょうがないじゃないか、オットセイなんだから、しかも君が先に死んで、先にオットセイに生まれ変わったから
僕もわざわざオットセイに生まれ変わったんじゃないか」
「なんだよ、私のせいだっていうの」
遠くへ行くチカオットセイ。
「Uさ～ん、あんな偏屈ほっといて、ね？」
「お、おう」とUオットセイ。

U君たら！　U君たら！　何がドイツ文学博士よ！　博士が聞いてあきれるわ！

つづく