もいんもいん!

「もいん」とはもとは北ドイツのおはようという意味です。

オットーくん3 第5話『北極なくなる』

「また、朝が来た、不思議だな」マンモスのマンモはつぶやいた。
ずっと永いあいだ、本当に気の遠くなるくらい永いあいだこのマンモスたちは眠っていたのだった。それをオットセイに起こされIKAEと戦わされるはめになったのだ。いろんな夢を見ていたなあ。あれ、全部夢だったのか。
マンモは第二の人生を謳歌しようと朝日に誓った。

「不思議だな、じゃねえだろ、おめえのうすら寒いクソポエジー魂なんぞ何の腹の足しにもならねえぞ! 腹が減ったぞ! 腹が!」とマンモスのモス。
「俺なんか、ンモだよ」とマンモスのンモ。

「最近、年貢が少ねえじゃねえか、バカにしやがって、俺たちは神だぞ!」とモス。
「しかも、勝手に起こしといてよ、こんな汚え地球を見せやがって。昔はもっときれいだったし、食料もいっぱいあったぞ」とンモ。
「腹減った、こんなにやせたマンモスはマンモスじゃねえ!」とモス。
ぱおおおおおおお~ん!!!!
マンモスの遠吠えを聞き、びくっとするオットセイたち。
「マンモスたちは相当怒ってる。我々、いや、北極にはもはや食料は残っていない」
「彼らだって食料を食べ尽くせばなくなることぐらいわかるだろうに」
「わかる相手じゃないよ、それに彼らは一時的にせよ、腹をいっぱいにしなきゃ満足しないんだ」
「すでにオットセイの仲間も何匹か食べられている」(すすり泣く声が聞こえる)
「とんだ神様だな」
「どこか他に移ってもらうってのはどうか?」
「するとまたIKAEの残党が攻めて来るに違いない」
「1匹残すってのはどうか?」
「どれを残すんだ、あとの2匹はどうする?」
「もう一度凍らすのは?」
「もうそんな氷もないよ」
「殺すか、売るか」
「マンモス食べたい」
「売れば金になるぞ」
「残されたヤツが怒るに違いない」
「しかし、彼らにしても死活問題だぞ」
一同う~ん。

オットセイは八方ふさがりであったが、とりあえずマンモスと話し合う事にした。

代表に敬語を話せ、へりくだることができるオットセイが選ばれた。
チカオットセイはすぐヒステリックになるし、Uオットセイはへりくだることができないので自宅待機。
「俺たちに出て行って欲しいだとお???」とモス。
震えるオットセイ。
「いえ、あの、ここですと食料がだいぶ不足してますし」
「食料なんかおめえらがとってくりゃいいじゃねえか、俺たちは神だぞ! この恩知らずらめ!」
「それはそうなんですが、それにお三方全員というわけではありませんし」
「都合のいい時だけ熱湯かけて叩き起こしやがって! 少しやけどしたぞ! その保証はどうした!!」
「ひひいっ、申し訳ありません」
「いいように利用して、あとはまかない切れなくなったからポイ、ってか、北極の食べ物がなくなったのはおれたちのせいか! で? 出てけか! 出てくバカがいるか! 北極を守るため? 昔は食べ物があったし、空気も水もきれいだったぞ! こうなった原因の人間を皆殺しにするほうが理にかなってんじゃねえか?? 俺等はここを動かんし、死なんぞ! 一応KO、髪かき上げる。のギャグより笑えねえぞ、俺はな、本当に過去に2発もこのギャグくらったぞ。あいつらはこのギャグ言うためにKOに入ったのか? たいした受験魂だ。そもそもどこが笑いどころなのわからん、お前等はそーゆーことを言うヤツより最低だ。腐っても東大って言うヤツよりも最低だ、腐ってんじゃねえか。腐ってるもんは最低なんだよ。腐るってのと発酵は違うんだよ!!」
「・・・」
「それより、今日の飯はどうした」
「ええっ?? 先ほど召し上がられたじゃありませんか」
「ばかやろー、あんなの前菜じゃねえか、主菜を持ってこい、主菜を!」
「は、はあ、しかし、ここにはもう・・・」
「もう! 頭に来たぞ!! オットセイ、全部喰ってやる! 並べ!」
「ひいいい~、それだけはかんべんしてくだせ」

「僕、行ってもいいよ」とマンモ。
「何、いってんだ、おめえは! プライドがねえのか」とモス。
「僕、北極以外の国も見てみたいなあ」
「バカだな、おめえは。おめえなんかすぐ人間に利用されちまうのがオチよ」
「でも、ここにいても、食料は不足するし、どっちにしろ、食料を探しに行かなきゃいけないんでしょ?」
「そりゃ、そうだけど、食べ物はこいつらが用意するってことで戦ってやったんだぜ」
「でも、もうないみたいだし、しょうがないよ。所詮オットセイなんだから」
ムッとするオットセイ。
しかしすぐに、
「マンモ様、本当ですか? それは助かります、いくつか候補地がありますので先方に話をつけときますね」
「話?」
「さようでございます、話をつけるということはうんこが臭いということと同じくらい地球人にとって大事なことでございます。思いつめるでしょう? そのとき、うんこの臭いを嗅いでごらんなさい。その臭さに笑ってしまうでしょう、だから うんこ 落ち込み 知らず とは昔からある格言でございます」
「そうなの? 僕はうんこの臭いを嗅いだ事はないなあ」とマンモ。
「ぜひ、今度落ち込んだときにでも嗅いでごらんになるといいですよ」
「さっきから、なに、うんこの話してんだよ、そうじゃなくてマンモだってタダじゃいけねえよな」とモス。
「はあ、それでしたら、先方に全てお任せして大丈夫でございます」とオットセイ。
「そうか?」とモス。
オットセイが携帯で電話すると1時間後に先方が空母で来た。オットセイとなにやらなにやらを交わし、マンモを空母に乗せた。
「バカだなあ、マンモは、ここにいりゃ王様なのによお」とモスとンモが感傷にふけっている間にオットセイたちはこっそりあとづさる。

と、空母の大砲がモスとンモに発射した。
「オットセイのくせにだ、だましたな! バカヤロー人間なんかと手を組んだ所でどうなることでもねえのに、イエローだからといって、カレーが大好きなわけでもないんやで~・・・」と倒れる2頭。

「! 大変だ!」とマンモ、しかし時すでに遅し。
「心配いらないよ、マンモ君、睡眠薬を打っただけだよ」と男。
「本当かなあ」
「ほらみて見なさい、オットセイたちが必死に氷をかけて冷やしているでしょう」
「う、うん」
ぶおおーと空母が去る。
「さあ今のうちだ!」
とモスを解体し、当面の食料にした。
マンモスの肉は想像以上の味だった。
ンモはいざというときのために眠らせておくことにした。


マンモスのンモの覚せい剤はオットセイの手の中にあると思えたが、
実はそれは単なるビタミン剤でそれでマンモスが眠りから覚めるものではなかった。
北極は今や、某国の手中にある。

するとIKAEがやってきて北極を制圧しようとする。
某国も迎撃する。

「たたた、大変だああ~、戦争になっちまった~」と全財産を手にあたふたするチカオットセイ。
あれ? 体が変だぞ。
とそこへ北極観測隊の船が通る。
「あのオットセイ動きが変だぞ」
と観測員のヘル・オットーがチカオットセイを抱く。
「これはリウマチかな、珍しい」とチカオットセイを祖国のドイツに連れて帰った。
そして北極はなくなり、チカオットセイは亡命した。


その後、
「北極がなくなったのは私の愛が強すぎて溶けてしまったんだお」というくそ寒いギャグが世界を圧巻し、北極は再び凍りついたのであった。

おわり