もいんもいん!

「もいん」とはもとは北ドイツのおはようという意味です。

カリスマ医師の隠された真実 第1話:スター医師登場!

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『BS世界のドキュメンタリー選▽カリスマ医師の隠された真実(1)スター医師登場』
原題:The Experiments Every surgeon has his own graveyard
制作:SVT(スウェーデン 2016年)

ハンサムで才能があり、優秀で語学も堪能な天才カリスマ医師。医学界の革命児としてメディアに取り上げられスーパーヒーローのように振る舞っているように見えた。同じラボの研究者からのまなざしも熱く密着取材などされれば有頂天だった事だろう。自信家な彼はすぐに自分の過ちを認めないだろう。そして、まわりも今更止められず突き進んでいく様がとても恐ろしかった。もっと早く止めていれば死ななくてすんだ命達があった。(2)は見てられなかった。死ななくていい人がまざまざと殺されていくのをただ黙って見ている事しかできなかった。
番組はとてもわかりやすかった。人工プラスティックを気管代わりにしていただなんて。単なる高価なプラスティックだったとか・・・・。

スェーデンの番組ディレクターの視点でカリスマ医師マキャリーニへの取材が描かれる。
2016年に制作されたのですでに医師には疑惑が持たれていた状態であった。

スェーデンの番組ディレクター「どうして彼は取材に応じてくれたのだろう。自分の言い分が公平に伝わるのを考えてか。この取材が彼を破滅に追いやろうとは。」取材の条件に告発されている事や申し立ての事を話さないというのがあった。
マキャリーニが気管の移植手術をした患者は世界で17名。術後ほとんどなくなっている。
あるベルギーの医師「医学界最大のスキャンダルだ。人体実験と知っていてやっていたななら大問題だ。」
マキャリーニの取材中、データのねつ造と人体実験をした疑いで警察の捜査があり告発されている。
しかし、権威あるスェーデンのカロリンスカ研究所は彼を擁護していた。
カロリンスカ研究所再生医療のラボで最も進んだ研究所だった。
取材ディレクター「世界最高峰の実験施設がマキャリーニをサポートしていたのか。答えを出すのは想像以上に困難だった」
マキャリーニが主に共同研究をしていたのはロシアだった。
メディアでは「マキャリーニの研究不正と違法な手術」の疑惑が浮上していた。
マキャリーニ「私が不正や違法な手術をして何の得が?馬鹿げてる」と開き直る。
「メディアが私をスーパースターにしたのに、悪役にしたり有名人は攻撃にさらされる。私の名誉と評価が傷つけられている」とメディアのせいにする。
そもそもの起こりは2010年、カロリンスカ研究所がマキャリーニをスカウトした事に始まる。各研究所は優秀な科学者の取り合いだった。画期的な発見と多額の助成金が得られた。
マキャリーニはロシアとも契約し取材班はロシアに同行した。
番組ディレクター「これが彼と長く関わる事になる出発点だった」
マキャリーニは告発されている事を気にもとめない。彼にはもっと野心的な目標があった。
マキャリーニ「手術をせず、細胞の力で、現代医療界を根本的に変えたい」
番組ディレクター「告発されてるが?」
マキャリーニ「告発されている事は話さない約束だろ」
ロシアの世界最高峰の再生医療研究センターのエレーナは人工の横隔膜を発明した。まだラットの実験段階なのに1年後には人間に使うらしい。だが4か月経っても実験は芳しくない。焦るマキャリーニ。
本来の実験は試験管の中→ラット→大きな動物→人間の順なのにマキャリーニの場合はこの手順を踏まずに人間で試していた。(これを人体実験と言わずして何と言う)
彼はすでに道を踏み外していた。
2008年、クラウディアに気管を移植した。幹細胞を成長させるという全く新しい方法。
大きなリスクを取った。そして何件かの同種の移植。イギリスで、ロシアではカザフフタン人へ、イタリアではイギリス人へ。
カロリンスカ研究所では彼は医学に革命をもたらすと心酔していた。
そしてマキャリーニは実験的な手術を行える移植のための国際センター設立を任された。
破格の給料だったが精神的なプレッシャーもあった。
そして人の気管の移植手術を受けていた女性の気管が不全を起こし始めていた。
人の気管ではなく人工のプラスティックを使うのはどうだろう。
実験には誰が? アイスランドに地熱エネルギーの研究をしに来ていた留学生が選ばれた。アンデマリアム・べイエネだった。
2011年6月に手術を受けた。
カロリンスカ研究所とマキャリーニは世界の注目を浴びた。
当時のニュース記事が残っている。
http://www.afpbb.com/articles/-/2842478
切ない。
以前手術した女性の症状が悪化。移植手術は失敗。気管がうまく繋がっていない。
20歳の時の手術で本人の気管は取り除かれた。そして彼女にプラスティックの人工気管を付ける事にする。
外科医「単なる高価なプラスティックです。上手くいくとは思えなかったし、しなかった」
このPOSS-PCUというプラスティックは機能しなかっただけでなく、バクテリア、菌類による感染症を起こし、周囲の組織とも結合しなかった。
女性は集中治療室で一か月半過ごし、家に帰されその後死亡した。
ベルギーの医師「骨髄から取った幹細胞が生きた組織に生まれ変わるとはありえない。論理的根拠も実験データもない。移植すれば死ぬ。カロリンスカ研究所の所長にこれは間違っていると手紙を送った。」
その手紙をカロリンスカ研究所は無視して移植を続けた。
2011年、アメリカ人、4か月後死亡。
2012年春、ドイツの取材チームがマキャリーニを密着取材。この素材映像に彼のプロジェクトが追い詰められている様子が克明に映し出されていた。
当時彼はアメリカのバイオ会社と契約をしていた。支援者だ。
その事で会社社長との電話のやり取りが映し出されていた。
マキャリーニ「人工気管が問題ではない」
患者が死亡し問題が解決しないのに2週間後にロシアで二人に手術をするという。
早くこの方法を確立させたい焦りが彼を駆り立てていた。
この時点で人工プラスティック移植を受けた3人のうち二人が亡くなっている。
マキャリーニは手術対象を重篤な患者ではなく、より健康で体力のあり命の差し迫っていない患者に転換する。
ロシアとイタリアで臨床試験を認可させた。
それは動物実験を行うことなく人体で手術を行う試験だ。
番組ディレクター「可能とは思えない手続きだ」
つづく


【第1話:スター医師登場!】患者の骨髄から採取した幹細胞を培養し、プラスチック製の気管に付着させてから患者に移植する手法で、「医学会に革命をもたらす」と賞賛されたマキャリーニ。一躍スター医師となったマキャリーニだが、実際は患者が手術後に次々と死亡していることが判明。スウェーデン国営テレビのディレクターは、世界トップレベルの研究機関・カロリンスカ研究所に在籍するマキャリーニを訪ね、取材を申し込む。